2021.03.02
家族でお話してみませんか、相続の話!
家族信託ってご存じですか?
今深刻になっているのが家族の認知症の問題です。
厚生労働省の2015年の発表によると、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。認知症の前段階とされる「軽度認知障害」と推計される約400万人を合わせると、高齢者の約4人に1人が認知症あるいはその予備群ということになります。今後高齢化がさらに進んでいくにつれ、認知症の患者数がさらに膨らんでいくことは確実で、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。
家族が認知症になると、もちろん誰が介護するかといった介護自体の問題もありますが、もう一つ重大な問題が生じてきます。不動産や預貯金の名義人である父・母や祖父母(被相続人)が認知症になりなると、本人の意思確認ができなくなり、不動産の売却はもちろん、銀行でお金をおろすことさえままならないといった状態になります。また、相続人の中に認知症の方がいる場合、例えば父親が亡くなって認知症の母親とその子供たちが相続人となった場合、母親の意思確認ができないため遺産分割協議ができません。遺産分割協議ができなければ財産等を分割できず遺産が凍結状態となります。このように家族の誰かが認知症になると相続資産が凍結されてしまうといった問題が生じてきます。
その一つの解決方法が「遺言書の作成」ですが、他にも解決方法があります。それが、「家族信託」です。判断能力がしっかりしているうちに、子や孫などの親族と信託契約を締結して、自分の財産を託します(「信託する」といいます。)。自分が認知症になったときでもその財産を活用して、自分や配偶者の生活費を管理したり、財産の運用や売却を任せることができます。また、財産を託された子や孫の判断で財産の売却や運用を決めることができるので、自由に財産の運用ができます。
しかも、一般的に相続が発生した際は、財産を被相続人から相続人へ承継させる一代だけの手続きですが、家族信託を利用することで、2回目3回目の相続まで見据えて財産の管理・活用を計画することが可能となります。
詳しくは、定期的に開催している相続勉強会・相談会でお話ししていますので、機会があればご参加ください。
と言うことで、今回は家族信託についてのお話です。この制度も本人が元気なうちにしないと意味がありません。ですので、家族全員で集まる機会があるときは、家族全員で相続について話し合ってみてはいかがでしょうか。